出逢いと始まり

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出逢いと始まり

 電話が鳴ってた…でも、すぐに止んだ。 同居人で一応兄弟の雄(ゆう)が電話に出たんだな…。 雄は父親の伝言を言いに俺を呼びに部屋に来た。 「竜希(たつき)、お父さんが玄関に居ろって言ってた」 「何で?面倒くさい、嫌だ」 「知らない。誰か来るんじゃないかな?」 何だよ、またかよ… コイツがこの家に来た時もそうだった。 俺だけがここにいて知らないコイツを迎えたんだ。 父親が養子に引き取った同い年の兄弟で、真面目でいい子。 どうせ、俺は不真面目で言う事も聞かない厄介者だよ… 「お願い。行こ?」 面倒だけど待つしかないのか… 黙って、大人しく雄の言葉に従ってやった。 玄関で座り込みいつ来るのかわからい知らない人を待っていた。 ガチャ… 開いたドアの向こうから女性が入って来た。 その後ろには背の高い奴。 女性は何か早口で言うと、慌てて家を出て行った。 残ったのは俺と、雄と、知らない人。 雄が優しく言った。 「僕は雄。こっちは竜希。2人とも17歳だよ。君は?」 「俺?翔和(とわ)、13」 13…?こんなにデカいのに? 170ちょいで身長が伸びなくなった俺。でも、コイツはまだ伸びるんだろうな… ま、どうでもいいけど… 「お父さんは、君のお母さんと再婚するつもりなんだね…」 え!?そうなんだ…でも、そんな事も俺には関係ない事… 「雄、もういいかな?部屋に戻る」 「あ、ああ。いいよ」 優しい顔で言う。 部屋に戻ると、何だか泣けてきた。 また、俺の居場所がなくなった。 もう、俺はここに居ちゃいけないのかもしれない… そう、思うと寂しくて、悲しかった…
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