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松永弥生
「てゆーか、小玉の顔付き最近ヤバくないですか?」
「わかるー、なんかやつれてきてますよねー」
「最近マザコン弁当食べてないから元気出ないんじゃなーい?」
「私、朝からあいつに怒鳴られましたよ、口臭くてマジムリ」
「大和田課長が午後出社だから張り切っているんでしょ、気持ち悪い」
「そのくせ課長に気に入られようと必死ですよね」
「ああ、毎日残業アピールってやつ?あいつの人生超つまんなそう」
「小玉って仕事出来ないくせになんで課長補佐なわけ」
「勤続年数長いからですよ、それでも三十代の大和田課長に速攻で抜かれましたけどね」
「大和田と小玉って名前からして抜かれてるし」
「大物と小物って感じ」
「やば、めっちゃウケる」
「大和田課長って彼女とかいるんですかね?松永さん」
「え?」
昼休憩の化粧ルームに二十代の女子社員の夏目理沙と吉田杏莉、湯上桜子が口を回しながら器用に化粧を直していた。
その後ろにハンカチで手を拭いていた弥生が間抜けた声で振り向くと続けて三人の中で一番古株である夏目理沙が弥生に声をかける。
「別チームですけど、私たちも今日の打ち上げ参加するんです。松永さんももちろん参加ですよね?」
弥生の勤める会社は東京に本社を構える大手建設会社で、ここ数年で起ち上げた新たな子会社のひとつ空間設計デザイン事業を担当している。
一つの案件に部門からそれぞれ抜擢した数人でチームを作り、プロジェクトに当たる今どきらしい体制を取っていた。
彼女達の上司、大和田祐也は本社から送り込まれた我が社の若手ホープ。
三十五歳で課長職へ出世し、高身長で容姿もさることながら、愛嬌のあるリーダーシップと行動力、斬新なアイディアでチーム全体は成績がよくいつも活気に溢れていた。
今日は半年ほど前から準備していた案件がひと段落付き、大和田率いるチーム全体で打ち上げ会を予定している。
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