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「ごめんなさい。今日は夫が出張から帰ってくるから不参加なの」
「えぇ、またですか?旦那さんのご飯なんて外で食べさせればいいじゃないですか」
リップを塗りながら今度は吉田杏莉が入ってくる。
「うん、でも出張先ではいつも外食だからせめて帰った時は料理を食べさせたいの。こうやって結婚しても自由に働かせてもらってるし」
「松永さんって、本当に旦那さん一筋なんですねぇ」
湯上桜子が感心するように答える。
「ええ、そんなこと……あるかな」
弥生の口元が思わず緩む。
「私、松永さんみたいないい人と結婚したいですぅ」
「なにそれ」
弥生はくすくすと笑った。
「てか大和田課長のプロジェクトっていつも松永さん入ってますよね。なんか言い寄られてませんか?」
夏目理沙の真剣な眼差しにさらに弥生は笑った。
「ないない!私、結婚してるのよ」
「まあ、松永さんに限ってそれはないかぁ」
「確かに。なんか既婚者の余裕がありますもん」
「夏目さん、大和田課長狙いなんだね」
弥生はにっこりしながら夏目理沙を見つめた。
「もちろん!今どきあんな上玉いませんから」
「ライバル多そうだけど、出来る限り協力するね」
二十代後半に差し掛かろうとしている夏目理沙の目は真剣だった。
今時のショートボブにTPOに応じた化粧にシフォンをひざ丈スカート、淡いピンク色のフレンチネイル。
インテリアコーディネーターの資格も持ち仕事も出来て根も真面目な女の子だ。
弥生と五歳ほどしか変わらないのに、随分と彼女が若く見えた。
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