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俺が今日から通う青常高校はできてまだ二年目であり、いわゆる新設校である。
なので三年生はおらず、一つ上の二年生しか上級生はいない。
俺は入学式が行われる体育館へと向かった。
体育館に着くと、俺と同級生と思われる新入生らがすでに何人か来ていた。
俺は自分の座る番号の椅子を見つけ、ゆっくりと座った。
(今日から俺の高校生活が始まるんだよな)
そんな時、俺に一人の女子が近づいて来た。
「あのー、すみません」
「はい、なんです…!」
(なんていう美少女なんだ!落ち着け天宮優斗、ついさっき恋愛はしないと心に決めたばかりではないか!)
「どうかしましたか?」
「いえ!どうもしておりません!」
(我ながらなんていうありさま…)
「えっと、私の座る席があなたのお隣なので、失礼してもよろしいでしょうか?」
「あっ、どうぞ。」
「ありがとうございます」
その女子は俺に少し微笑んで、静かに椅子に座った。
俺は隣に座っている女子に動揺しているのがばれないよう、落ち着いて深呼吸をした。
それから時間通りに入学式は始まり、四十分程で終了した。
そのあと俺は自分のクラスへと向かった。
一年生のクラスは一組から五組まであり、俺はその中の二組であった。
俺は自分のクラスの前で止まり、深呼吸をして教室に入った。
俺は自分の番号の席に座り周りを見渡すと、他の生徒も俺と同じ様に、同じクラスになった人と話すことなく、静かに席についていた。
この学校には俺と同級生だった友達は一人もいない。
わざとこうなるために、俺は自分と同じ中学出身の生徒がいないこの学校を選んだのである。
中学生だった頃の俺は、好きだった人にひどい仕打ちを受け人間不信になってしまった。
その時の俺は、女子はもちろん、友達にさえ心を閉ざしてしまい、そのため俺はみんなから気持ち悪いと言われ続け、中学を最後までぼっち生活をしてきたのである。
二度とこんなことを繰り返さないために、わざわざ自分の家から遠いここ青常高校を選んだのである。
(そうだ、俺の高校生活を充実したものにするためにも、絶対に恋愛はしない!)
そんな時、俺に一人の女子が近づいて来た。
「すみません」
「なんです…!」
俺に声をかけたのは、さきほど体育館で会ったあの美少女だった。
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