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クラスメイト
「あ、おはようございます!優斗さん!」
「うん、おはようございます。じゃなくて!なんで‥篠崎さんが俺ん家の前にいるの!?」
「えっーと、それは…」
「お兄ちゃーん、忘れ物だよーって、その人だれ?」
「えっーと、この人は…」
「私は、天宮さんのクラスメイトの篠崎春香と申します。」
優香は驚いた表情をみせ、俺の耳元で言った。
「凄いじゃんお兄ちゃん!もう友達作ったんだね!しかもあんなに美人な人、お兄ちゃんにはもったいないくらいだよー」
「ほっとけ!てか友達じゃないし、俺もよく知らない人なんだよ。」
「じゃーなんで家の前にいるの?」
「こっちが聞きたいわ!」
二人を見ていた篠崎は困った顔で言った。
「そろそろ学校に行かないと遅刻しちゃいますよ?」
「あっ、やべ!じゃー優香、いってく…あれ?」
優香は篠崎の元へ行っていた。
「春香さん!」
「はい!?」
「こんなお兄ちゃんですが、仲良くしてやって下さい!なにしろ友達付き合いがにがっ…!」
俺は優香の口をふさぎ、家の中へ追い返した。
「ごめんな優香!じゃーいってくる!」
「待てー!お兄ちゃーん!」
「行こう!篠崎さん!」
そう言って俺は篠崎の手を握り、駅へと走り出した。
「はっ、はっ、待ってください…そんなにいそげな…」
「あっ!ごめん!」
俺と篠崎はいったんその場で止まり、息が整うのを待った。
「あの」
「ん?」
「手が…」
俺が自分の手を見ると、篠崎の手を握っていた。
「ごめん!」
俺はすぐさま繋いでいた手を振りほどいた。
「いえ」
息が整ってからも、しばらく俺と篠崎は黙り続けたまま、その場で立ち止まっていた。
(やばい、すごく気まずい…)
「あの!!」
しばらくして二人の口から出た言葉は、ちょうど重なってしまった。
「あっ、ごめんなさい、お先に…」
「いや!篠崎さんが先に…」
「じゃぁ」
(なんだ、何を言われるんだ?やっぱり手を繋いでたから「気持ち悪いんだけど」とか言われるんじゃ)
「あの」
「はい!?」
「電車が…」
「へ?」
俺は携帯の画面で時刻を見ると、すでに電車はいってしまっていた。
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