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遅刻をしてしまった俺と篠崎は、急いで教室へと向かった。
しかしそこには、鬼のような顔をした二組のクラス担任の前田先生が立ちふさがっていた。
「やぁ君達、入学して次の日に遅刻とはいいご身分だな、なにか言い残すことはないか?」
前田先生は今にも腰にぶら下げている木刀を抜こうとしていた。
「待って下さい先生!」
「なんだ?」
「私はここに引っ越してきたばかりで、学校まで行く道が分からず迷っていました。でもそこにゆう…天宮さんが助けてくれたんです!だから天宮さんは悪くありません!」
「おい!」
「それで遅れたと?」
「はい…」
「まぁいいだろう、今日は見逃してやる。
だが次遅刻したらどうなるか分かるな?」
前田先生は俺を睨んできた。
(ひぃ!この人怖すぎるだろ!)
「ありがとうございます!」
篠崎がお礼を言うと、前田先生は職員室に戻って行った。
「どうして、あんな嘘言ったんだ?」
「どうしてって、私の責任でもありますから。」
そう言って篠崎は先に教室へ入っていった。
それから少しして、俺も後に続いた。
今日からすぐに授業が始まることになっていた。
四限目が終わって昼休みになり、俺は昼ご飯を食べる準備をしていた。
(あれから篠崎にお礼も言えてないし、つかどうやって女子に話しかければいいんだよ!)
「はぁー」
その時、俺は後ろから肩を叩かれた。
「なぁ、もしかしてお前も一人で飯食うのか?」
「えっ?」
(やばい、どーしよ男子に話しかけられた!落ち着け、落ち着くんだ俺!イメトレしてきたことを思い出せ!)
「お前もってことは、君も?」
「そーなんだよ!つか、入学して二日目で一緒に飯食う人探せっていうのも正直無理があるだろ?」
「確かに…」
「だから俺と一緒に飯食わね?」
「俺とで良かったらいいけど」
「ありがとな!俺の名前は柄本司!えっーと…なんだっけ?」
「お、俺は天宮優斗!」
「優斗な!よろしく!」
(男子と話すなんて何年ぶりだろうか、いかにも友達と話してるっぽい!見たか優香!俺だって友達の一人や二人すぐ出来るんだ!やばい、お兄ちゃん泣きそう…)
俺は二年ぶりに新しい友達が出来たのであった。
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