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夏の大三角関係
「たすく、今日は俺んち来るだろ?」
放課後の帰り道、横のみつるがそう言った。当たり前のように俺を誘うには訳がある。
毎週月曜日、みつるのお母さんは家に居ない。近所の自治会館にホットヨガを習いに行くからだ。
みつるは、小6にもなるというのに、誰もいない家に一人で居るのが心細いのだ。
「じゃあ、宿題やったら行くからさ」
「なんだよ。近所なんだから、俺んちでやればいいじゃんか」
みつるの気持ちは理解できるけど、オレにだって色々事情がある。
「ウチのママがそれを許すと思うか?」
「思わない」
即答するみつると目があって、二人同時に吹き出した。それほどママは、口うるさくて有名だ。
もちろんオレらの仲間内だけの話だけど……。
「みつるがウチに来ればいいんだよ。それで解決さ。ママはウチで宿題やる分には文句は言わないから」
みつるは、大げさに首を振って拒否する。
「それが、そうもいかないんだよ」
「なんでだよ」
「実はさ……今日は家にもう一人いるんだよ」
みつるが困った顔をするなんて珍しかった。
「誰かいるのか?」
「ああ、よくわからないけど」
「それは誰だ?」
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