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あと隊長さんの視線が怖い。
「仕事をやる気にさせろ」という、無言のプレッシャーがめちゃめちゃ痛いです。
何なのこれ俺全然悪いことしてないよね。むしろ無関係、いや被害者だよね。
だがしかし、書記さまがここからいなくなってくれれば俺は自由の身。そしたらソッコー逃走して寮に引きこもってやる。
二度と親衛隊の奴なんかには会うもんか。
よし、そうと決まれば今だけ、あと少しの辛抱だ。
俺は全米も絶賛する(かもしれない)一世一代の名演技を披露することにした。
「えっと、はい。それはもう失望しまくりですね、ちゃんとお仕事しない書記さまは嫌いです。ていうか今すぐ生徒会室へ行っちゃってください、光よりも速く本当に」
「……わんわ、ん……!」
おお、やった。
ショックを受けたように泣きそうな顔で、ふらりと一歩よろめく書記さま。
さすがにそれは言い過ぎだろ、という隊員たちからの微妙な眼差しなんて知りません。
「これでお分かりですね。さぁ彼をこちらに」
――――ダッ
「へ?」
「書記さま!?」
突然走り出した書記さま。
みるみる隊長さん達の姿が遠くなる。
何これ、俺を担いで逃走してんのか?
え、待ってどこ行くのよ。
ポカン顔の皆が我に返り懸命に追いかけて来るけど、全く距離が縮まらないし。どんだけ速いんだこの人。
ちょっ、何。
だ、誰か助けて、説明してぇぇえ!?
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