446人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒会室は仕事場です。
「遅っせぇんだよこの馬鹿犬が――……って、おい何だそれ」
「わんわん、俺の。可愛い」
「は?」
書記さまの回答に目を見開く美形ども。
揃いも揃ってちきしょうめ。
平凡だからってなめんなよ、じゃなくて。
無理やり担がれ、眩暈と吐き気に襲われながらようやくたどり着いた先は、どうやら生徒会室だったみたいです。
名前とかは知らないけど多分、会長・副会長・会計・庶務さまと思われる四人にすごい顔で凝視されてるし。
書記さまと俺を交互に何度も……ってちょっと怖い。
「わんわん怖がる、から。会長たち、あっち行け。こっち見るな」
「はあ!?」
「ひぅっ!」
会長さまとおぼしき男前から射殺さんばかりに睨まれ、書記さまの服を握り締めた。
び、ビビりで悪いか。
よしよし、と身体をさする書記さまの手に少し安心――って、あれ?
いつの間にかお姫様抱っこと近い状態じゃないかこれ。うわちょっ、恥ずかしい。
お年頃な男子高校生としてのメンツにかかわるから、今すぐ止めてぇぇえ!
「貴方は何を考えているのですか。ここは一般生徒の立ち入りを禁止している筈でしょう」
「何かもがいてるし、その子。時間も無いんだからさっさと帰せばぁ?」
「ヤ、だ……わんわん一緒にいる」
「あのぅ、さっきから『わんわん』って何ですか先輩」
「テメエ自身が犬だろうが、この馬鹿犬。おら手ぇ離せ」
ガブリ
と書記さまが、会長さまの手に噛み付いた。
――ように見えた。
「うおぁっぶね、何しやがる!」
「わんわん、俺の。会長、触っちゃダメ。それと今日からここ……わんわんの、遊び場所」
「は?」
思わず俺も驚く。
生徒会室が遊び場所って、何。
つかどうして俺を連れて来たんだ。
「俺が仕事しない……と、わんわん嫌がる。でも離れるの、ダメ。だからわんわん、遊びながら一緒にいる。ここ、で終わるの待ってる」
「いいいいやちょっ、待っ!?」
「馬鹿犬が馬鹿なこと言ってんじゃねーよ。ふざけてるのかお前、却下だ却下」
.
最初のコメントを投稿しよう!