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――パコンッ
「!」
「止めてください書記さま、彼が嫌がってます」
「ハァハァ……た、隊長さん?」
手に持っていた何かをポイ、と近くの机の上に放る親衛隊長さん。丸めた分厚い紙の束みたいだけど。
あ、なるほどさっきの『パコンッ』は、これで書記さまの後頭部を叩いた音か。
会計さまが「それ、俺が作った書類」と呟いたのは聞かなかったことにしよう。
ていうか隊長さんがなぜ生徒会室に?
という質問が出来る雰囲気じゃないので、固唾を呑んで見守ります。何か怖いし。
一先ず書記さまの膝からは下り……れないね、まだしっかり片腕でホールドされてるや。
この際くすぐり攻撃が止んだだけでも良しとすべきか。うう。
「貴方はいったい何を考えているんですか、逃亡したかと思えば突然『書記を辞める』だなんてメールを送ってくるし。貴方の為に頑張った親衛隊員の気持ちを踏みにじる気ですか、人生ナメてんですかこんちきしょう」
「だ、だって……わんわん一緒、ダメって……会長も副もチャラも、言った!」
「はぁ? そんくれーで辞意表明してんじゃねーよ馬鹿犬、ふざけんな」
「ねぇねぇ、ワンコ書記って今まで俺のこと『チャラ』って呼んでたのー?」
「先輩、生徒会を辞めないでください。僕、クズだらけの中で庶務の仕事を続けていく自信がありません」
「ああもう五月蝿い! 書記親衛隊長、すみませんが『わんわん』とやらを含め今回の件に至る全ての事情を詳しく聞かせてください」
お、副会長さまの一言でようやく収拾がついたらしい。
「それもそうだな」と今頃言ってる会長さまは……えっと何だろう。奥さんの尻に敷かれる旦那って感じ?
さっきも会計さまにおちょくられていたし。
庶務さまは俺と同じ一年生らしいけど、結構いい性格(毒舌)みたいだ。
うーん、書記さま含め生徒会役員って美形なだけじゃなく、意外にも変人の集まりだったんだなぁ。
などと俺が考えている間に、隊長さんは『俺イコールわんわん』について懇切丁寧な説明をし始めるのだった。
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