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何でいきなり興奮してんの、書記さま!?
再びギュウギュウ抱き締められ、頬擦りやら頭やお腹の他あちこち撫でられたりくすぐられたり。
圧迫されて痛いだけならまだしも、うっかりおかしな声が出ちゃうから止めて。恥ずかしいからぁぁあ!
そんな俺達を眺め、ため息を吐く隊長さん。
ハッ、そうかまだこの人がいたんだ。
この中で唯一まともそうな彼なら、書記さまと『補佐』の件から俺を助け出してくれるかも……という期待は瞬時にして裏切られた。
目が合った途端、にっこり笑って
「補佐、頑張ってくださいね」
と応援(最後通告)されたのだ。がっでむ。
書記さまの力加減と諸々のちょっかいについては叱ってくれたけど
「話し合いに集中出来ないので、わんわん君を鳴かせないでください」
って、言い方ちょっとおかしくない?
***
「差し出がましいこととは思いますが」
そう切り出す隊長さん。
平凡な人間が、補佐とはいえ突然生徒会入りするのだ。それは今後確実に親衛隊の嫉妬や反感を買い、制裁に繋がることを意味している。
その上、ついさっき俺を抱えて走り回る書記さまの姿が複数の生徒達によって目撃されている。余計な勘繰りや勝手な妄想、あらぬ噂が学園中に広まるのも時間の問題。
こうなった以上、全校生徒への発表はなるべく早い方が良い。
そして書記さま親衛隊には秘策がある……とのことだった。秘策って何?
「ねぇ、だったらいっそ親衛隊を解散させちゃえばー?」
「火に油を注ぐ結果となるだけです。お止めください」
「無理やり解散させた場合、わんわん君への逆恨みが怖いですよね」
「わんわん、危険になるの、ダメ」
「しかしこのままだと結局わんわん君に被害が……」
「あ、あの、俺は別に補佐やりたくな」
「大丈夫です。今回の件については書記さま親衛隊の全員が協力致しますから。多少、予定とは異なりますが……我々にお任せ頂ければきっと上手くいく筈です」
「チッ、失敗するんじゃねーぞ」
「わんわんは俺が、絶対に、守る!」
「そうですよ先輩。だから生徒会辞めないでくださいね」
「では至急、わんわん君の補佐就任に関する手続きを――」
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