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でもって書記さまは机と向き合い、真面目にお仕事を再開して……いや、あれ?
俯いたまま何故か小刻みにプルプル震えているような。
――バンッ!!
「皆ずる、い。もう無理、俺……わんわん我慢、出来ないっ! わんわん抱っこした、い。わんわん、わんわん、わんわんー!」
思いっきり手で机の上を叩くと、立ち上がってこちらを見る書記さま。
しかも半泣きだよこの人、鼻グスグスいってるし。うわぁ……。
これ、俺だけじゃないよね引いてるの。
さすがに他の皆も呆気にとられて口あんぐりだし。
「わんわん、俺のとこ来て?」
「は? いや、え」
「そっちの方が良い、の? なら俺が、そっち行く。わんわん抱っこ、する!」
パアア、と嬉しそうな笑顔を浮かべた書記さま。
両手を広げこちらへ突進――
「駄目に決まってるでしょう。馬鹿言ってないでさっさとお仕事終わらせてください書記さま。勿論ちゃんとご自分の机の上で、お一人で」
する前に、隊長さんの冷気を伴う一言で轟沈した。
***
「うっううっ、ぐすっ、わんわ、ん……」
「泣いてる暇があったら手を動かしてください。それと、今度くだらない真似をしたら容赦しませんからね」
「ううっ、わんわん……ひっく、わんわ……」
「ほらよそ見しない!」
お、鬼だ。ここに鬼がいます。
どうしよう、めちゃくちゃ書記さまが憐れに思えてきた。
眉を下げ、助けを求めるような悲しげな目をこっちに向けた途端、机の横に立つ隊長さんからまた叱られてるし。
「…………ワンコ書記の隊長さんってたまに本気で怖いよね」
「…………まあ、彼にはあれくらいがちょうど良いとは思いますが、確かに」
「…………俺様まで睨まれたぞ。あいつ馬鹿犬の側仕えのくせに迫力ありすぎじゃねーか?」
「先輩の側仕えたるもの、時には心を鬼にし苦言を呈することも必要なんです。さすが隊長さんです! で、どうして会長はこっちに逃げて来るんですか?」
「に、逃げてねーよ!」
身を寄せ合い声を潜めてコソコソ会話する生徒会役員の皆さま。
本人は否定しているが実際、避難目的でこちらに来た、ようにしか見えない会長さま。
それをまたもや年下の庶務さまに弄られる。
何なんだこの状態。
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