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「だいたい、自分と同年代の人間が幼い頃出会ったノラ犬の生まれ変わりだなんて、常識的に考えても有り得ません。それだと一つしかない魂が同時にそれぞれ別の場所に存在していたことになります。理屈に合わないでしょう?」
うん?
俺に理屈とか言われても困るが、そーゆうもんなの?
魂って二つに分裂したり出来ないのか。漫画だとたまに見るけどね。陰と陽に分かれたり、数百くらいに分身(分裂?)して眷属とか言うのもあったような。
妖怪バトル漫画とか面白くて結構好きなんだよなぁ。
「――と、思っていたのですが。わんわん君なら本当にあの犬が生まれ変わった存在なのかもしれませんね。とてもよく似ています、仕草や表情・行動パターンなんかが。それからここ」
「んっ」
「首まわり、特にあごの下をくすぐるように撫でてやると気持ち良さそうに目を閉じるんですよ、今のわんわん君みたいに。……ふふ、気持ち良いですか?」
はふっ、気持ちい。
とか思ったら俺ダメなの? え、犬?
首のそんなとこくすぐられたこと無いから知らなかったけど、体の力が抜けそうになるし。別にどうでもいいや。
隊長さん撫でるの上手いなー。
「あと、前に書記さまもおっしゃってましたが、お腹を撫でられるのも大好きだったんですよね。試してみてもいいですか?」
「へ。ちょっ、え」
「んー、服の上からだとやりにくいな。ちょっと失礼」
「うひゃっ! なな何して、隊長さん!?」
いきなり服の上から腹部をくすぐられた。
かと思ったら、人よりやや冷たく感じる手が直接へそあたりの肌に触れてくる。
ひいっ、待ってそれ何かやばい。
くすぐったいだけじゃなくて、よく分かんないけど今、ゾクゾクッて――。
「あ、やっとお湯が沸きましたね。後は僕がやりますのでわんわん君は少し休んでてください」
…………た、助かった?
沸騰を知らせるメロディが鳴った途端、呆気なく俺から離れ、皆の所へ持っていく物を再確認する隊長さん。
うああ、びっくりした今の何。
急に書記さまが隊長さんの身体に乗り移ったのかと思っちゃったよ。
もっとも書記さまの場合、後ろから目一杯抱きついてきて腹を撫でるというより、まさぐられそうだけどね。
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