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その指輪のせいで、私は幸せになれなかったの。
やっと外れたんだもの、要らないわ、そんな、呪いの指輪――。
―――――――――――――――――――――――――――
「りーちゃーーーーーんっ!!!!!」
翌朝、教室に着くなり、万桜はりーちゃんに飛びついた。
「はっ?なに万桜、どうしたの!?」
「りーちゃん、りーちゃんっ……!!!」
半べそをかきながら、ちょびっと鼻水も垂らしながら、ぎゅうっと抱きしめる力を強くする。
「万桜、ちゃんと話してくれなきゃわからないから」
そう言って、万桜のカーディガンのポケットからハンカチを取りだすと、ぽんぽん、と鼻水を拭いてくれる。
決して自分のを出さないあたりが、りーちゃんらしい。
「違ったの!思い出したの、あの指輪っ!昨日、拾って、渡そうとしたときにはもう女の人はいなかったって言ったけど、そうじゃなかった!」
「どういうこと?」
「本当は、女の人はいて、渡そうとしたの。だけど、そしたら女の人が言ったの。『要らないわ、そんな、呪いの指輪』って……」
「呪いの指輪?」
こくん、と頷く。
「万桜」
ん?と顔をあげる。
「そのこと、どうやって思い出したの?」
「今日……ん?昨日の夜になるのかな?夢で見て、あ!そういえばそうだったって」
「……」
「りーちゃんどうしようー!このままじゃ私、幸せになれないよぉおお」
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