第二話

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「万桜」 「なぁに?」 万桜の瞳からはとうとう、ぽろぽろと大粒の涙がこぼれ落ちてしまった。 「夢は、過去の記憶が整理される過程で生まれるものなの。夢はあくまでもねつ造された映像を私たちに見せていて、実際の映像じゃない」 「で、でも……!朝起きたとき、本当にそうだったなって思い出してっ!」 はぁー、と、りーちゃんの深いため息。 「そう思い込んでるだけ。大体、早く外れてくれないと碧くんとペアリングできないーって、考えながら寝てるからそんな夢見るのよ」 ――うっ! 確かに、ベッドのなかで延々と考えてました……。 「そ、そうなのかなぁ?」 なんだかりーちゃんがそう言うと、そんな気がしてきた。 「そうよそうよ、絶対そうよ」 うーん、と、万桜が頭を悩ませていると。 「――万桜っ!どうしたっ?」 気付くと目の前に突然、碧くん。 急いで駆け寄ってきたのか、息を切らしながら、真剣な表情で、万桜を見つめている。 「えっえっ?」 急な展開に、頭が追い付かない。 と、す、と碧くんの綺麗な指先が、万桜の頬に触れる。 「泣いてる」 ――はっ! 「ち、違うの!これはその、誤解?だったというか、ね、りーちゃんっ!」 咄嗟にりーちゃんに助け船を求める。 さっきまで私がいくら違うって言っても頷かなかった癖にっと、りーちゃんはしらぁーとした目を万桜に向けてから(被害妄想)、 「碧くん。万桜がね、私は幸せになれないーって泣いてたのよ」 爆弾を落としやがった。
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