10人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
「りーちゃんっ!!!」
「え、幸せになれない?」
覗きこむように万桜を見つめてきた碧くんと、ばちっと視線が絡む。
「どうして……?」
「あ、ち、違うの!えーと、その、なんというか」
爆弾を落とした張本人、凛々子様は、我関せず、と、手に顎をのせて窓の外を見ている。
「……万桜」
「あ、はい」
ごくり、と唾をのむ。
「俺は万桜といて、万桜と付き合えて幸せだなって思ってるけど、万桜はそうでもないのかな?」
――へ?
「あ、ごめん……!俺、何言ってるんだろう……!」
碧くんが、恥ずかしそうに口元を手で隠す。
「……俺、万桜のことになると、全然余裕がないんだ。その、万桜が、好きすぎて」
――う、
うぁああああああああああっ!!!!!
ど、どうしようっ!私今、絶対顔真っ赤だ……!!!
止まらない。
リフレインが止まらないっ!
『俺は万桜といて、万桜と付き合えて幸せだなって思ってるけど』
『万桜のことになると、全然余裕がないんだ』
『俺、万桜が、好きすぎて』
『万桜、愛してるよ』(幻聴)
うぁあああああああああああっ!!!!!
と、万桜がチンチンに茹で上がったそのとき、
タイミング良くチャイムが鳴って、碧くんは自分の席に向かった。
万桜は金魚のように口をぱくぱく、とさせながらも視線を彷徨わせていると、窓の外を見続けていたりーちゃんの耳は赤く染まっていて、
クラスメイトの女子たちの頭からも、ぼわぼわと湯気が立ち昇っていた。
最初のコメントを投稿しよう!