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委員会決めからのSHRが終わると、碧くんが万桜に駆け寄ってきた。
「万桜、大変なの当たっちゃったね」
「碧くん……」
「俺に手伝えることあったら何でもするから」
――碧くーんっ……!!!
「でもごめんね、今日は生徒会があるんだ」
万桜も気を付けて帰るんだよ、またラインする、と頭にぽん、と手を置き教室を出ていく。
――あぁ……やっぱり碧くん好、
「まーおっ!」
「うわぁっ!」
――び、びっくりしたぁっ……!
「りーちゃん!」
碧くんと入れ替わりにやって来たのは、高校からの友達の杉咲凛々子。
あだ名はりーちゃん。
「相変わらず、愛されてるねぇー」
りーちゃんはニヤニヤニヤニヤ、なんだか楽しそう。
「そ、そうかな」
思わず顔が赤くなる。
そう。
碧くんは、王子様みたいな綺麗な顔をしてて、優しくて、勉強ができて、スポーツもできて、生徒会に入ってて、友達からも慕われていて、
万桜の、彼氏。
中学の卒業式のあと、ずっと好きだった、と告白されて。
家が近所で幼稚園からの幼馴染だったけど、仲が良かったのは小学校の高学年くらいまでで。
だから、告白されたときはびっくりしたし、そもそも好きってどういうことか、まだよくわかってなかった。
だけど、私のことを好きだって言ってくれる人なんてもう二度と現れない!と思って半分勢いでオッケーしちゃって。
良かったのかなぁって思ったときもあったけど、今は、当時の自分を思いっきり褒めてあげたい。
だって。
碧くんは、とっても優しくて。
連絡もマメにしてくれて、いつも気遣ってくれて。
大事にされてるって、毎日実感できるの。
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