第一話

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「てゆーか万桜、まーた指輪外そうとしてたの?」 つんつん、とりーちゃんが、万桜の左手薬指に嵌めている指輪をつつく。 ダイヤとか宝石がなんにも付いていない、まるで結婚指輪のようなシンプルなシルバーリング。 「うん。必死で引っ張ってたんだけど駄目だったぁ」 「おりゃっ」 りーちゃんが指輪をぐりぐり、と左右に回し外そうとする。 ――痛てててて……。 二分後。 「あーもう無理っ!なんなのこの指輪!」 りーちゃん、苛々してる。 せっかくの美少女が、台無し。 「昨日もさ、お風呂で指輪のまわりにボディーソープ大量に流して抜こうとしたんだよぉ」 なんで抜けないのかなぁ、と机に突っ伏す。 「小学生のときからだっけ?」 「うん。小学五年生のとき。女の人が落としたのを拾ってね、渡そうとしたときにはもういなくて。興味本位で嵌めたら最後、外れなくなりましたー」 「え……万桜、小五から指のサイズ成長してないの?」 「それはないよ!でもさ、なんか指と一緒に指輪も大きくなってるような……?」 左手を掲げ、まじまじと指輪を見つめる。 こうして見てると、シンプルながらやっぱり綺麗だなーとか思ったり。 「ふぅん。まぁ、害がないんなら別にいいんじゃない?」 りーちゃんは意外と淡泊だったりする。 「だ、駄目だよ!だって、だって……!」 言いながら、みるみる顔が赤くなるのがわかる。 「ははぁーん」 なるほどねぇ、という風にりーちゃんは顎にぽん、と人差し指を当てている。 「さては、碧くんに指輪買ってあげるよ、とか言われたな?」
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