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「てゆーか万桜、まーた指輪外そうとしてたの?」
つんつん、とりーちゃんが、万桜の左手薬指に嵌めている指輪をつつく。
ダイヤとか宝石がなんにも付いていない、まるで結婚指輪のようなシンプルなシルバーリング。
「うん。必死で引っ張ってたんだけど駄目だったぁ」
「おりゃっ」
りーちゃんが指輪をぐりぐり、と左右に回し外そうとする。
――痛てててて……。
二分後。
「あーもう無理っ!なんなのこの指輪!」
りーちゃん、苛々してる。
せっかくの美少女が、台無し。
「昨日もさ、お風呂で指輪のまわりにボディーソープ大量に流して抜こうとしたんだよぉ」
なんで抜けないのかなぁ、と机に突っ伏す。
「小学生のときからだっけ?」
「うん。小学五年生のとき。女の人が落としたのを拾ってね、渡そうとしたときにはもういなくて。興味本位で嵌めたら最後、外れなくなりましたー」
「え……万桜、小五から指のサイズ成長してないの?」
「それはないよ!でもさ、なんか指と一緒に指輪も大きくなってるような……?」
左手を掲げ、まじまじと指輪を見つめる。
こうして見てると、シンプルながらやっぱり綺麗だなーとか思ったり。
「ふぅん。まぁ、害がないんなら別にいいんじゃない?」
りーちゃんは意外と淡泊だったりする。
「だ、駄目だよ!だって、だって……!」
言いながら、みるみる顔が赤くなるのがわかる。
「ははぁーん」
なるほどねぇ、という風にりーちゃんは顎にぽん、と人差し指を当てている。
「さては、碧くんに指輪買ってあげるよ、とか言われたな?」
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