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彼女は三年間誰よりも頑張っていた。
けれど彼女は、大半の部員と……その、端的に言うと仲が悪かった。
そして、彼女は顧問とも仲が悪かった。
一年の頃に深い溝が出来て以来ーーーその溝はさらに深く深くなっている。
「だって、顧問まで敵だったら、味方誰だよって……感じじゃん?」
「うん」
「無理じゃん、そんなの……無理だよ」
「うん」
だけど彼女は、実力で顧問に自分を認めさせようとした。その結果、彼女は、部員たちの中でも特に上手くなったらしい。
だが、それが、顧問と他の部員達に、理由を与える結果となった。
……小南 加美は個人プレーばっかりで、協調性が無く、チームプレーには向かない、と。
「あんたらにそんな事言われたくないっつうの。……そう、思った。あんたらは試合に出ないだろうが、って」
彼女の味方をしてくれた部員もいた。
それは、彼女よりかは劣るが、それでも普段から頑張って練習をして、レギュラーに選ばれた人たち。
「けどさ、だけど……っ!」
それでも駄目だったと、彼女は言った。
あの日、僕に元気を込めてくれた彼女の姿は、どこにも見えなかった。
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