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私の好きな人は、臆病で、弱くて、元気が無い様な、そんな人。
だけど彼は本当に優しくて、私が困っていたら必ず相談に乗ってくれた。基本的には、部活の事だったけど。
私と、彼は、今まで部活のレギュラーとして大会に出た事が無かった。事情は多少違うけれど、それでもその共通点が、私が未だに部活動を頑張っていられる理由でもあった。
高校最後の大会に、二人揃ってレギュラーとして出場しよう。そう約束した。
結果的に私は、その約束を守ることは出来なかったが、彼はちゃんと守ってくれた。
最近の彼が、どれだけ部活を頑張っていたのかは、私も知っている。
そんな彼に申し訳なく思った。
……だけど私は、レギュラーには選ばれなかった。
ほんの、少しだけ、言い訳させてほしい。
私も色々頑張ってみたのだ。本当に、色々と。普段の練習だけでなく、仲違いしていた部員や、顧問なんかとも関係を修復しようと努力した。
けれど全くの無意味だった。
結局、私は選ばれなかったのだ。
彼にどんな顔を見せたらいいのか分からなくなって、下を向いた。
俯いた私の表情は、一体どんなだっただろう。
後悔はある。辛いし、苦しいし、悔しい。
だけどこれ以上何をしたら良いと言うのだろうか。
もう、わたしには分からない。
分からない、分からない、分からない。
気が付けば、また私は、彼にそんな風に吐き出していた。
彼は、真剣な表情で、「うん」「うん」と相槌を打ちながら聞いてくれる。
本当に優しい。本当に、本当に、悪い気持ちでいっぱいになる。辛い。苦しい。
ーーーそして悔しい。
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