もう少しで

8/14
前へ
/14ページ
次へ
それから、日々が駆け足気味に過ぎていった。 僕は今までよりも一層、部活に精を出し、必死で頑張った。 だが、時折彼女の顔を思い出し、どうすればいいのかと考える。 今まで、自分が彼女にしてきてもらった恩を、感謝を、この機会に返せればなとも思う。 今の自分は彼女のおかげだ。 そう自身を持って言えるからこそ、そんな自分なんかが彼女に何かしても良いのか不安だった。 だけどやらなければならない。 きっと、彼女と仲の良い人達でも良いのだろう。同じ部活仲間とか、同じクラスの人とか。 ……けれど、多分それでは、駄目なのだとも思う。 約束を交わした自分が、彼女のあの表情を知っている自分が、彼女を大切にしたいと思っている自分が、彼女に感謝している自分が、彼女の事が大好きな自分がーーーやらなければならないのだ。 そこに、覚悟とかは必要なかった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加