先輩、あのっ!

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先輩、あのっ!

「好き、です」 この4文字、おもに前半2文字を言えずに千紗は今日も1人で反省会をする。いっそ、「好ぃとぉよ」とか方言で言ってみたらどうか。「アイラブユー」と舌足らずに言ってみてもいいし、帰国子女っぽく饒舌に熱い「I love you.」を囁いてみるとどうか。伝わらない前提で「Я люблю вас.」も、一周回ってアリなのか。 「あぁー!もう分かんない!直接言うことなんてムリ!」 どれもナシだなと、告白原稿を投げ捨てる。千紗は平凡な、東京生まれ東京育ちの女子高校生である。好きです、と言うしか道は残されていないように思えた。 「今時、手紙ってどうかな。古風な女って見えるか、重い、って思われちゃうかなぁ~」 今回のミッション最大の難所は、憧れの「高峯遥一」先輩の机の位置しか知らないことだ。
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