先輩、あのっ!

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千紗と高峯の出会いは偶発的なものであった。千紗は授業補助係日本史担当である。第一志望は物理の授業補助係だった。物理の柳原先生がイケメンだったから多数の応募者が出て、公平にじゃんけんをすることになったのだが、あえなく初戦敗退。渋々、日本史係になった。 日本史係としての最初の任務は、授業後の振り返りシートをまとめて提出することだ。意外と多い日本史選択者と、まだクラスメイトの名前がうろ覚えだったから骨の折れる仕事だった。何とか整理し終えて提出に向かう。階段を降りて、2年生の教室の前に来た時、緩みかけていた靴紐を踏んで転んだ。千紗の目の前に白いカーペットが真っ直ぐに広がった。 「うっわ……マジで……うわぁー……」 やっと並べ替えた、今までの仕事が水の泡である。 「あははっ、きれいに広がったなぁ」 白いカーペットの先に誰かが居て、紙拾いを手伝ってくれた。 「とりあえず、拾うね。俺の席すぐそこだから、並べ替えもそこでやっちゃおう。出席番号書いてあるやつだよね。あっ、これ日本史の杉内のプリントじゃん。君、日本史担当なの?俺もそうでさ。プリントめっちゃ多いから大変だよね、多分これからもっとプリント増えるから気をつけてね。そうだ、申し遅れました、2Dの高峯です」 いつのまにか千紗の手元まで高峯が来ていた。手元には集まった振り返りシートが重ねられ、千紗に向けられている。 「これで全部だよね、並べながら確認しような」
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