あの時の足は

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 ……子供もいるような年齢になって、急にあの時を思い出したのが不思議だった。  今まですっかり忘れていたのに。  逆に今まで忘れていたのは、本当はそんな足はなかったのかも。  ひょっとしたら、そんな子は居なかったのかも。  風呂場で、ぼんやりとその考えに達した時。  左耳のすぐ後ろから、はっきりとした声が響いた。 「 いたよ 」    
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