能登の夏、接近遭遇の夏

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「う……うん」 「ちょ、ちょっと待って」俺は混乱する。「何で花火行けなくなったの? で、それが何で俺がいたら行けるようになるわけ?」 「野暮なこと聞かんといてま! 聞かんでも分かるやろ?」と、伯母さん。  いや、そう言われてもマジでわからんのだけど…… 「失恋してんわいね、この娘……」伯母さんが言いかけると、 「ちょ! お母ちゃん、やめてま!」シオリがあわてて遮る。 「いいがいね。ほらぁンね、いい機会やさけぇ、カズヒコくんに慰めてもらったらどうけ? なんたってカズヒコくんはあんたの……」 「わー! わー! わー!」  シオリの妨害で、それ以上伯母さんの言葉は聞くことが出来なかった。  俺の予想通り、彼女はそれなりにモテて彼氏もいたのだろう。しかし、奇跡的に今はフリーなようだ。だからと言って、別にどうと言うこともないのだが。  それでも、やはり浴衣の女の子と花火見物、というリア充イベントを体験する機会など、めったにあるものではない。子供の頃にシオリとその兄、ヤス(ヤスヒロ)の三人で一度見ているが、久々に和倉の花火を見るのも悪くない。俺はその話に乗ることにした。 ―――
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