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能力を使って働いたらブラック企業になっちゃいました。(1)
これは、今から少し近未来都市で起きた、世界を揺るがす(かもしれない)ほどの能力をもった女子高生の、波乱万丈な社会貢献のお話である――。
*****
「むぎゅぅ……」
あたしは、倒れないように車内に設置された近くの手すりにしがみ付く。
田舎オブ田舎から出てきたあたしにとって、都会の満員電車での通学は正に地獄という言葉に相応しいだろう。
いつもは混雑する時間帯は避けていたのだが、今日は見たいテレビいろいろな番組があったので、平日の17時過ぎという危険な時間に電車乗ることになったしまった。
ホームに並んでいるあたしの目の前に、電車特有の轟音を鳴らし電車が通り過ぎ、ゆっくりと停車する。
そして、停車した電車の扉が開くと、その中は帰宅途中のサラリーマンやOLで、ごった返しになっていた。
人が入る余地など無い様に見えたが、あたしは覚悟を決めて電車に乗り込んでいく。
人と人の間を液化した猫のようにスルリと抜けると、あたしは電車の奥になんとか入り込む事ができた。
手すりを掴むと少し安堵する。
発車のアナウンスが流れ、電車が動き出す。
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