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「今回短すぎない? なんでそんなにすぐ別れるの?」
あたしは口をとがらせて、筋違いの理由で実樹を責める。
けれども、詰め寄るあたしを実樹は真っ直ぐに見つめ、不機嫌そうに呟いた。
「だってあいつ性格悪かっただろ? 俺、晶があいつにひどいヤキモチ焼かれてるの、全然知らなかった」
「あたしがヤキモチ焼かれてるって……。誰かになんか聞いたの?」
「駿汰が教えてくれた。晶が山井に何度も呼び出されて、俺に近づくな、みたいなこと言われてたって」
「そう……」
また今回も駿汰が助けてくれたんだ。
駿汰は中学からの同級生で、実樹とは親友の間柄。
飄々としてとらえどころがない印象だけれど実はすっごくいい奴で、あたしとも気の置けない友人だ。
「まあ、女子のヤキモチなんて小学校のときからあたしは慣れっこだけどね! 実樹はモテるからさ」
あたしはそんなのなんでもない、って風に強がった。
「でもさ、俺の知らないとこで晶にあれこれ言うのは反則だろ。ほんと、女子は性格悪いやつ多いんだなぁ」
うんざりしたようにため息を吐く実樹。
それなら誰とも付き合わなければいいのに──そんな言葉を飲み込んだあたしは実樹の顔をわざと覗き込む。
「そういう女子とばっか付き合うのは実樹に見る目がないからだよ! 性格良い子だって結構いるよ?」
「いろんな子と付き合って見る目を養おうと思って、告られたらなるべくOKするようにしてるんだけどな」
「なにそれ!? 裏目に出過ぎなんですけど」
実樹のそのウェルカムすぎる性格で、あたしがどれだけ苦労してると思ってるんだろう?
実樹が長続きするような良い子と付き合ったら、あたしはアップダウンに苦しまなくなるのかな。
仲の良い二人を見せつけられれば、苦しくても諦められるようになるのかな──
このままじゃ、あたしの想いはずっと実樹に縛られたままだ。
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