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しばらく漏れていた一花の嗚咽の間隔が開いてきた。
真っ赤になった目で一花が俺をまっすぐに見つめる。
「私……入学してすぐのときから、ずっと実樹君のこと好きだった。晶ちゃんに相談して、実樹君とお友達になれてからも嫌われないように努力して、やっと実樹君の彼女になれたの。実樹君と付き合って、もっともっと実樹君のことを好きになった。だから急に言われても諦められないよ……。お願いだから、諦められるくらいまで、私に頑張らせてください」
「頑張るって──」
「実樹君が事故に遭ったのは私にも責任がある。だから、実樹君が入院している間は、毎日お見舞いに来させてください。私、実樹君が私のことやっぱり好きだって思ってもらえるように頑張る。いっぱい頑張るから……。頑張って、それでも実樹君の気持ちが変わらなかったら──。その時は、実樹君の話を受け入れます」
一花は泣きながらもきっぱりと言った。
確かに、俺の話は一方的すぎると思う。
「俺のこと、そこまで思ってくれてありがとう。
ただ、今の俺は一花の気持ちに応える自信がない。それでも俺のために頑張ってくれるの…?」
「実樹君のためじゃない……っていうのもおかしいけど」
一花は泣きながら苦笑いする。
「自分のためなの。私が頑張りたいの。頑張らなきゃ諦められないから……。わがまま言ってごめんなさい」
「一花はわがままなんかじゃない。わがままなのは俺だよ。本当にごめん……」
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