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「ハグのときも……。俺が最後抜かして優勝して、みんな喜んでたけど、晶が満面の笑みで駆け寄ってきて……。その笑顔見たら、抱きしめたくてたまらなくなったんだ。俺が晶を喜ばせたんだから、その笑顔は俺のもんだって思った」
“幼馴染みだから” ハグしたわけじゃない──
「実樹……。それって────」
体中が心臓になったみたいにドキンドキンといっている。
涙がこみあげてくる。
実樹のその先の気持ち、教えてもらえるの──?
「“幼馴染み” っていう言い訳は、実は俺にはいらないんじゃないかって思った。けど──」
…………けど?
「あの日の帰り、お前は一花の誤解を解きに行けって俺に言った。確かに、俺の軽はずみな行動で一花を傷つけたのはわかってる。そうすべきだっていうのも納得できる。……けど、晶は俺に “幼馴染み” として忠告してくれたんだと思った。俺が一瞬棄ててもいいと思った関係を、お前は俺に突きつけた。それで俺は “幼馴染みじゃなきゃよかった”って思ったんだ」
どういうこと…………?
それって──
実樹が誤解してる……!!
あまりのショックで声が出ない。
実樹はさらに続けた。
「晶からしたら俺は “幼馴染み” だし、親身になって忠告してくれたんだよな。それに、お前にはもう駿太がいるし。今さら俺が “幼馴染み” をやめたいなんて言っても、お前や駿太を困らせるだけだよな」
「ちが……っ! そうじゃない──」
あたしは声をふりしぼった。
なのに────
あたしの声は聞こえていないかのように、実樹が言葉をかぶせた。
「だから大丈夫だ。“幼馴染み” のままでいいよ。これからも、ずっと……」
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