最終章 星に願いを

6/15
前へ
/110ページ
次へ
 実樹がかすかに微笑んだのを見て、あたしの想いは堰を切った。 「そうじゃないっ!! どうしてわかってくれないの!? あたしが……こんなに……こんなに! ずっと! 棄ててしまいたいと思っていたのに……っ!!」  コツコツコツと急ぐ靴音。  ドアがガラッと開く。 「ちょっと! あーちゃんどうしたの!? 廊下まで大声聞こえてるわよ!?」  缶コーヒーとハードグミを持ったみっくんママが慌てて部屋に入ってきた。 「え……っ、何? あんた達ケンカしたの!?」 「…………ごめん。帰る」  あたしはぼろぼろとこぼれる涙を拭くこともせず、バッグを持って病室を飛び出した。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加