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第二章 転入生なのに随分と偉そうね。
「…すずな。」
「ん、何?」
「何か困りごとでも?」
「へ?どうしたの急に。」
すずなのきょとんとした顔を見て、紗夜子は(やはり気のせいか)と思った。
西風すずなは呆れるくらい掴みどころのない人物だ。笑ったと思えばすぐに泣くし、落ち込んだかと思えばすぐに立ち直る。
勘が良い紗夜子が驚くような行動をすることも多々あるし、そんな所が紗夜子がすずなを気に入っている理由の一つでもあった。
「…あー、んー、あるかも。別にそんな大したことじゃないんだけどね。」
(案外あっさりと白状した。)
心の中でつぶやく紗夜子。
「うちの周りに住宅街ができたのって知ってる?」
「そうなの?」
「そうだよー。綺麗な洋風の家がたくさん。」
すずなの言葉に周りの女子がうんうんと頷く。
(…そういえばそうだった。春休み中だったから忘れていたけど。)
「それで、ご近所さんが新しく沢山できたの。できたのは良いんだけどねー…。」
そこまで言うとすずなは気まずそうに目線をそらした。
「ちょっと、うるさい男子がいてさ。言い寄られるというか、やたら近づいてくるというか。」
「…は?」
紗夜子の目が険しくなる。一気に彼女の周りにいた女子の表情がひきつる。
下手に喋ったら口を塞がれるような恐怖。
紗夜子が機嫌を悪くしたのだと瞬時に察したのだった。
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