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夕食を食べ終え一人でテレビを観ていると、突然スマホが鳴った。
誰からかと思いつつ確認すると、半年前に別れた女からだった。
今更何の用だ?
訝しく思いながら電話に出ると、数秒間の沈黙が流れた。
「……もしもし?」
さては、別の誰かにでもかけようとして間違えたか。
そんな推測をしながら声をかけると、どこか戸惑うような声がスマホの向こうから返ってきた。
「……もしもし、たっちゃん? あたしだけど……急に電話してごめんね?」
「おう。どうした? 今更オレに何の用だよ?」
久々に聞く声に少し懐かしい気分を味わいながら、オレは皮肉を込めた言葉を口に出した。
他に好きな男ができたと一方的に告げ別れを切り出してきた相手だ。昔と同じように接しろというのも難しい。
「ん……あのね、ちょっとお願いがあるの。今から会うことできないかな?」
「今から? 先に用件を言えよ」
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