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何度も礼を言う元カノを宥めるようにして電話を切り、オレはすぐに指定されたコンビニへと向かった。
「たっちゃん、こっち!」
駐車場へ入ると同時、外に立っていた元カノが手を振りながら走り寄ってきたので、助手席へと乗せた。
「ごめんね、突然呼んだりして」
「良いよ別に。それより、どこに行けばいいんだ?」
「あ、うん。取りあえず、案内するからこのまま出してもらえるかな」
そういう元カノの言葉に頷き、オレは車を発進させ道路へ出る。
それから暫く指示されるままに車を走らせていくと、徐々に人気のない場所へと入り込み、やがてほとんど交通量のない峠道へと辿り着いた。
「おい、こんな道通ってどこまで行くつもりだ? 本当に用事なんてあるのか?」
まさか、新しい彼氏と喧嘩別れでもして、傷心を癒すためのドライブに付き合わされてるとか、そういうオチじゃないだろうな。
そんなことを疑い始めながら隣に座る元カノを見ると、まるで何かに耐えるように表情を強張らせ、ジッと前方を見据えている。
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