4人が本棚に入れています
本棚に追加
助手席に座ったまま男と同じように顔を血に染め動かなくなっていたのは、たった今まで一緒にいたはずの元カノ本人だった。
その後、自分の身に起きたことの説明がつけられないまま、オレは急いで救急車の手配をした。
結局、車に乗っていた二人は死亡が確認され、スピードの出し過ぎによることが原因の事故だと判明した。
運転席にいた男はオレの後に付き合い始めた彼氏だったようで、恐らくドライブの最中に起きた悲劇だったのだろう。
オレに電話をかけてきた元カノは、きっと自分が事故に遭ったことをオレに伝えようとして現れた魂だったのかもしれないと、今はそう解釈している。
“――来てくれてありがとう”
助手席に座る彼女が消える直前、最後に告げた言葉は、未だオレの耳に残り続けている。
最初のコメントを投稿しよう!