密雲不雨《みつうんふう》

2/23
562人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ
週末から悪かった天気が回復し、冬の弱い陽射しはオフィスを柔らかく照らしてる。 静かにそれぞれが作業する中で、自分がタイピングする音がやけに大きく感じられた。 あーなんか調子でねぇ……。 曜子さんと飲みに行った後は思った以上に落ち込んだ。多少なりとも近付けた気がした所での、最後の言葉は堪えた。 あれから言わせてしまった原因をずっと探してる。 振り返ってみれば確かに浮かれてたし、いつも以上に彼女に優しくする自分がいた。それが同情してるようにしか見えずに傷付けた? それともアレは線を引かれたのか? 気持ちに気付かれたとか。 いや違うか。それだったらあの言い方はしない気がする。でも線を引かれた気がするのも、あながち間違ってないんじゃないかとモヤモヤして仕方ない。 駄目だ。わっかんねー。 仕事に集中しようと思っても、気付いたらこんな風に彼女の事を考えてる。 週末飲みに行ってから彼女と話すタイミングがない。月曜日に給湯室で会えたけど、滝川さんがいたのでそういう話は出来なかったし。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!