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「バカね、私の心配までしてんじゃないわよ」
眉を下げてみっちょんを見上げる私の頭をみっちょんはポンポンと叩くと優しく微笑んだ。
「だって、嫌だもん」
大切な親友を危険に晒すのはさ。
やっぱ、大切なものは守りたいから。
「ふっ・・・ここで私に甘えない所は鈴子の矜持なんだろうね。私、そういう鈴子が好きよ」
「私もみっちょん好きだし」
「私達、相思相愛よね」
二人で顔を突き合わせて微笑んだ。
もちろんガールズラブでは無いけれど、私達の間には確かな絆が存在する。
なにはともあれ、今日のミッションを成功させるまで私は頑張るしか無さそうだな。
高虎が一人の時なんてないだろうから、道明寺や間宮辺りを狙うかな。
あの二人なら、女子に囲まれてない時間もありそうだし。
本当、お母さんのせいで今日は一日気苦労に見舞われそうだよ。
恨むよ、お母さん。
明日からは何としてもお弁当を預からないようにしなきゃだわ。
毎日こんな心労に見舞われるなんてごめんだもの。
学校に近づくに連れて登校する生徒の姿が増えていく。
楽しげに会話をしながら歩くその姿を見ながら、自分だけが重々しい気持ちを抱えてる様な錯覚に陥ってくる。
本当、こんなの運命じゃなく呪いだよね。
高虎が幼馴染じゃなければ、私はこんな気持ちを抱えずに済んだかも知れないというのに。
そりゃもちろん彼奴だけが悪いわけじゃないってのは分かるけど、巻き込まれてる私にしてみれば理不尽で迷惑以外の何者でもないのだ。
「それにしても、鈴子は厄介な幼馴染を持ったわよね」
隣を歩くみっちょんが気遣わしげに私を見た。
「うん、本当にそう思う」
何度も巻き込まれを経験した私にとってはその一言に尽きるだろう。
「昔みたいに周囲を気にせずに話しかけてこなくなっただけか、今は救いかしら」
「本当、それ」
そこだけはまだマシかもしれないよ。
中学の頃は周囲を引き連れたまま私に話しかけきたし。
そのおかげで高虎を好きな女の子達に、とんでもないぐらい敵視されたし。
幼馴染がイケメンってのは相当リスクがあると切実に思う。
そりゃね・・・普通に話しただけなのに私を逆恨みする女の子達が間違ってるんだけどね。
あいつもあいつなりに、私の状況を見て汲むべきだったと思うんだよね。
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