プロローグ

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ヤツが産まれて、一日半後に生を受けたのはこの私。 家が隣同士で、親同士も知り合いと言う、なんとも言えない絆のせいで、否が応でもヤツと共に育つ事になった。 容姿端麗、成績優秀のヤツの周りにはいつも男女問わずに人が集まった。 もちろん、私にもそれなりに友達は居たが、事ある毎にヤツと比べられ、何度苦渋を飲んだことが。 その上、ヤツはいつも背の低い私をいつも姫リンゴとからかい続けた。 おかげで、私にとってヤツはすっかり疫病神だと認定されてる。 どうして、私の幼馴染がヤツしかいないのか、もうそれは呪いでしかないと思う。 我が家は代々長子は幼馴染と結婚すると幸せになると言うジンクスに従い、幼い頃から共に育った幼馴染と結婚に至ってる。 母親も、そのまた母親も、そのまた母親も。 家系図を江戸時代まで遡っても、我が家は幼馴染と結婚してる。 家族はこれを運命だと言うが、私にとって呪い以外の何物でもない。 しかも、隣に住むヤツの親もなんと幼馴染同士の結婚で。 両家の人間は、私とヤツの出会いを運命でしかないと口々に言う。 ありえない、本当! ありえない。 あんな女ったらしい冗談じゃないから?! 絶対にこの運命・・・いや呪いは私の代で消滅させてやる。 今日も今日とて、心に誓う。
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