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「本当、ありえない。どうやってこの秘密のミッションをクリアすればいいのか」
悲壮感たっぷりに肩を落とす私に、
「・・・ちょっと大袈裟だから」
苦笑いするみっちょんに、ジト目を向けたのは仕方ないと思う。
大袈裟でもなんでもないよ。
下手を打てば、私にとって死活問題に発展するんだからね。
「みっちょん、よく考えてみて。高虎にお弁当を渡した事がバレたりしたら、あのハーレム女子から要らぬ誤解と敵意を向けられるんだよ」
力強く言う。
「まぁ、普通に考えてそれはあり得るわね。だからと言って馬鹿正直にお隣に住んでる幼馴染だから弁当を届けたとも言い訳できないしね」
「そう! そこ。高虎と幼馴染だとかバレたくないし。だからといってお弁当を手渡す様な間柄だとかも誤解されたくない。だからそこ、人知れず手渡す方法を編み出さないと」
私の平和な高校生活の為に!
「人知れずねぇ。それは無理じゃない?」
「もう! そんなにあっさりと言わないでよ」
みっちょん、私の小さな希望を打ち砕くのは止めてぇ。
「だって、あいつの周りって常に誰かしら側にいるじゃない」
「そうだけどさ。女の子の居ない時を狙う事は出来るかも知れないじゃん」
「あ、なら、トイレは流石に女子は行かないんじゃない?」
「それって、私に男子トイレに突撃しろってこと?」
それは、色んな意味で不味いから。
高虎のお弁当を渡す為に痴女にはなりたくないよ。
「いや、そこまでは言ってないわよ。バカね」
呆れたように笑われた。
「だってぇ」
「トイレから出てきた瞬間とか行く途中とか、狙うのはその辺りよ」
困り顔の私に大きな溜息をついた後、みっちょんはそう言った。
「あ! なるほど」
それなら出来るかも。
とにかく女の子達に見つからないように隠密で動かなきゃいけないけどね。
「と言うか、私が渡してあげようか?」
おぉーみっちょん、神じゃん。
でも、ここで二つ返事は出来ないな。
私が頼んだせいで、みっちょんに悪意が向かうのは嫌だし。
私の事情に大切な親友は巻き込めないもん。
「ううん、それはいい」
「どうしてよ? 私ならなんの躊躇いもなく渡せるわよ」
「そりゃそうだけど。そんなことしたらみっちょんがハーレム女子に目を付けられるじゃない」
それは嫌だもん。
女子達の勝手な嫉妬や逆恨みを受ける辛さは、誰よりも分かってるつもりだし。
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