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自分には関係ないことだと思い直し、メグと教室を出ようと足を進めてると結構な音量で聞こえてきた声にうんざりとした。
「私も高虎君にお弁当作ってあげたい」
「私だってぇ」
「えー抜け駆けはだめだよ」
「ねぇ、当番制にしない」
キャッキャと騒ぎながら、我先にと口を開く女子生徒達。
あーぜひそうしてやってほしいわ。
そしたら、私は配達などと言うミッションを課せられる事は無くなるしね。
「でも、あれって誰から貰ったんだろう?」
「そうだよね。登校する時には持ってなかったもん」
「誰か抜け駆けしたの!」
ハーレム要員の女子達が不穏な空気になってきたので急いで教室を飛び出した。
火の粉を被るのは御免こうむる。
危ない危ない、やっぱり高虎に直接渡さなくて良かったよ。
そんなの見つかりでもしたら、イジメのターゲットに今頃なってたに違いないわ。
危機一髪を乗り越えられた事にホッとしつつ、廊下に見慣れた人物を見つけて駆け寄った。
「みっちょん、待った?」
「うちもついさっき終わったところよ」
その返答に胸をなでおろし、ニコリと微笑む。
帰宅する生徒で賑わう廊下は、居心地の悪い教室よりも安全であるのは間違いなさそうだ。
「よし、みんな揃ったし、行きましょう」
私より少し遅れてやって来た萌が私達に声を掛けてくる。
彼女の声に頷いて私達は本日の目的の場所へと向かって移動を始めた。
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