だっ、旦那様が居ませんっ

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 だが、尊がロールスロイスを返そうと、新幹線ではなく、車で長距離走ってきたので、申し訳ない気がしたのだ。  ……結局、同じ車に乗って帰ってしまったが。  武田の親心は、征と結婚させようとした鈴の父親の親心くらい、間違っているかもしれないが。  まあ、両親以上に心配してくれているのだから、ありがたいことには違いない。  尊さんの親御さんは、そうか、帰るのかって軽く流す感じだったもんなー。  でもまあ、心配していても、口に出さないだけかもしれないしな~。  うちのお父さんだって。  お父さんが、征さんとの結婚話を進めてくれなかったら、尊さんにだって会えてないわけだし。  そんなことを考えて居たら、目が冴えてしまったようだ。  カーテンのない窓からちょうど見える青白い月を見ていた。  なんだか眠れそうにないし、このまま朝まで起きて待ってようかな、と思っていたのに、やっぱり、疲れていたのか。  いつの間にか寝てしまった。
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