だっ、旦那様が居ませんっ

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   誰かが私の手に触れている。  鈴は明るい光の中、目を覚ました。  太陽が直接顔に当たっているようだ、と思ったが、その通りだった。  カーテンがない部屋。  眠っている自分を少し微笑んだ尊が見下ろしている。 「みっ、尊さんっ。  お帰りなさいっ」 といきなり起き上がったので、尊の額に頭突きをくらわしそうになる。 「うわっ、お前、考えて動けよっ」 と叫ばれた。  す、すみませんっ、と鈴は苦笑いして、ごまかそうとした。 「いつお戻りになったんですか?」 と布団に半身を起こして言うと、 「今だ」 と尊は言う。 「えっ? 今ですか?」  外はもうかなり明るい。  二度寝したので、かえって長く寝てしまっていたようだった。
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