思えば、このときが一番、平和だったかも……

5/15
前へ
/83ページ
次へ
 ……窪田さん、スタッフのみなさん、すみません、と思う鈴に、尊が、 「鈴、店を探せ」 と言ってくる。  はいっ、と鈴は目を皿のようにして、道沿いの店を見た。  そして、赤信号のとき、それらしい店に張り紙が貼られているのを見つけた。 「あっ、定食……っ!  ……『定食やめました』?」 「『はじめました』じゃなくてか……?  そんな後ろ向きなこと、大々的にお知らせするか?」 と尊が言ったときには、もう車は走り出していた。 「いや~、やめましたに見えたんですけどね~」 と鈴は小首をかしげる。  まあ一瞬だったので、自信はないのだが――。  で、そんなしょうもない話をしているうちに、高速の入り口まで来てしまったので、二人は、サービスエリアでがっつり食べることにした。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2120人が本棚に入れています
本棚に追加