思えば、このときが一番、平和だったかも……

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「職場からだ」 「今日おやすみなのに、忙しいんですね」 「ちょっと支社長が癖が強い人でな。  いろいろとめんどくさいんだよ。  いちいち上に報告しろとか、するなとか」  特に俺はよく思われてない、と渋い顔をして、尊は言った。 「……初日に、ロールスロイスで乗りつけたから」  ああ、と鈴は苦笑いする。 「支社長、上に媚びないどころか。  上を敵視する癖があって。  俺のことも、そんな自分を見張りに来たんじゃないかと思っているようだ」 「いや~、そんな、もともと清白の跡継ぎだった尊さんが、征さんの使いっ走りにみたいなこと、しませんよね~」 と笑ったが、尊はスマホを持ったまま、固まっていた。  うっ。  自分で本当にそんな感じだとか思ったのだろうか。  やっぱり、仕事に関しては、まだナーバスなんだな。
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