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好きになったあの人は…
「どうしよう、好きな人ができた」
目の前で、親友の優子が言った。
ややうつむき加減で、手はストローの袋をいじっている。
「それって、2次元の人?」
やや、茶化すように私はきいた。優子はアニメや漫画が大好きだ。2次元に嫁ができてもおかしくはない。
「たぶん、3次元…かな」
優子は顔をあげて、ふわっと笑った。不覚にも可愛いと思う自分がいる。
「たぶんって、どういうこと?」
動揺を悟られないように、平静なふりを装う。
「あのね、SNSで知り合ったの。最初は、面白い人だなーくらいに思ってたんだけど、メッセージを送り合ううちに気が合うなと思うようになってきて…
あのね、今度会うことになったんだ」
優子の顔が少し赤くなっている。その表情は恋する乙女のようだ。
私は、考えた。誰かを好きになるのは悪くない。
だけど…
「優子の旦那は知ってるの?」
優子は結婚していて、優しい旦那と可愛い子供がいる。
「えっと、SNSの人と会うのは知ってるよ。だけど、大勢で会うって言ってるからか、反対はされてないかな」
へへっと優子は笑う。
「そう、ならいいんだけど。優子はその人と付き合いたいの?」
「どうかなー。でも、不倫はだめだよね」
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