第1話

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鷹丸:いいよ、本当に何回も言わなくていいから。 門番:……じゃあ新しいこと言うわ。 鷹丸:んっ? 門番:オマエさ、門番にならねぇか。 鷹丸:……あぁ。 門番:あぁって何だ、肯定か否定か、どっちなんだよ。    ちゃんと金も払われるし、そんなモンスター退治なんてタダ働きしてねぇで。 鷹丸:モンスター掃除ね。 門番:どっちでもいいだろ、で、門番をやるのかやんねぇのか。 鷹丸:う~ん、まあ何かなぁ、こう、燃えてこないというか。 門番:何だ、オマエ、ガキか。 鷹丸:……ガキだよ、まだ12歳のバリバリのガキだよ。 門番:とはいえオマエのバトルセンスは大人顔負けだ、すぐに優秀な門番になれるだろうよ。 鷹丸:だから燃えてこないんだよ、なんというか、もっと遠くの世界を見てみたいんだ。 門番:ガキじゃねぇか。 鷹丸:だからガキだよ! 悪いか! 門番:まあそうやってフラフラ遊べているのはガキの特権だ、好きに遊べばいい。    ただし、ここからは街の外で安全の保障はねぇぞ。 鷹丸:いいよ、もうそれ。    何回言うんだよ。 門番:オマエがこの門をくぐろうとする度に、必ず言ってやるよ。 鷹丸:……もうくぐりたくねぇな、早くこの街から出て冒険してぇなぁ。    口うるさい門番のいない世界に、な! 門番:じゃあ嫌がらせとして、もっと口うるさくなるように、    『安全の保障はねぇぞ』を言った同じ回数だけ、無事帰ってきたなと言ってやるよ。 鷹丸:今日は無事に帰ってこないかもしれないぜ? 門番:オマエが無事に帰ってこない日なんてあんのか? 鷹丸:まっ、無いけどよっ。 門番:夕方にはこの門を閉じるから、それまでに帰ってくるんだぞ。 鷹丸:ハイハイ、分かってますよ、今日も余裕だ。 ○走って街の外に出る鷹丸。 門番:鷹丸も、もう12歳か……もう言うほどガキじゃねぇのかもしれないな。
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