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第三章 志願者
「・、私は耕す者が報われる国を創りたい。その為、私の下で戦って欲しい。」
と演説を終えたサナダを避難民達は微妙に視線を交しつつ、戸惑いを隠せぬ様子でいた。
彼等は愚鈍な訳ではない。恩人の言葉に対して素直に頷いてしまって良いのかどうか探っているのだろう。反対にヤジや罵声、嘲笑といった反応が無いのにサナダは拍子抜けした。
実は一席ぶって兵を募ったのは二度目。
サナダは最初の"演説"は園内で、この農園に立て籠る人々に対して行なった。
撫で肩の男、リードの提案した農園で"雇われる"と言うのは、金銭で農園の用心棒になるというのではなかった。
ここでの人集めを認めるから、その間農園の言わば軍事顧問となって、復古派との戦いの手助けをして欲しいということだった。
「もちろん必要な物資も提供しますよ。それに貴方の能力のデモンストレーションにもなって、人集めの助けになるんじゃないですか。」
と言ってからリードはニコリとして、
「これまでの経緯から見て、私が提案せずとも似たようなことを貴方はしたのではないですか。それを認めようと言うのですよ。お互いに意地を張っていても無益ですから。」
状況を言い当てられてしまったのは癪だが、だからこそ断われない。
こうしてサナダ達は軍事的助言者として園内へと招かれた。
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