プロローグ

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
これは具体的にどうゆうことかと言うと、領地の農奴からの徴税にしても道路・運河の通行税にしても領主の実行力において為さなくてはいけない。近隣の領主との見解の相違は互いの折衝によって当人同士が行うのである。時には力尽くで。  帝室に承認されること無しに教会から神聖馬が提供されることはないし、通常の軍馬に跨る騎士では神聖馬に跨る神聖騎士に敵わない。  神聖騎馬は馬格が飛び抜けて良い、と言うより化け物じみている。通常の軍馬で最強と言われるスローン種が一トン強ほどの重量なのに神聖馬は二トンを超える。自らも鎧を纏う神聖騎馬に跨る重いプレートメールを纏った神聖騎兵。野戦でその突撃に耐える者はいない。  力による折衝は徒党を組んで行なわれることが多かったが、結局は帝室の認めた者同士内の諍いでありコップの中の戦争だ。神聖帝国にとって内乱は新陳代謝を促す制度といっていいような側面があった。  その最後の、そして神聖帝国崩壊へ導いた内乱もいくつかの偶然が無ければ幾つかあった内乱の一つとして収束しただろう。  いくつかの偶然により復古派と呼ばれた反乱軍が、少々毛色の違った宗教的主張によって一時的に団結、神聖帝国の帝都を襲い略奪したことが、神聖帝国の終の始まりだったと歴史を俯瞰して見れば言えるだろう。  現帝国を開いた初代皇帝が最初この復古派の一員であり、帝都陥落の直前にそこから追放されたことは帝国年代記にも記されている。     
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!