第二章 封鎖農園

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「何、大したことじゃなかった。だいいたい、兵達もやる気が全然無かったぜ。」 「それで貴方はこの後どうしますか。復古派との接触までの約束でしたが。」  ラーデンは小狐を構いつつ視線を泳がせて、 「まあ、あれだな、釣り銭は無いって言ったが金貨一枚丸々残っているような塩梅だ。もう少し付き合うよ。」 と言ってからサナダを見て取って付けたように、一騎では復古派を突破するのに骨が折れそうだから丁度良いと言って笑った。  ヴィヴィアンの水の求めに中へ走った門番は、大鍋や水の入った樽、瓶の載った荷車を押す数人を従えた二人を連れ戻ってきた。  その一人、大柄で日焼けした顔が鞣革のような男が顰めっ面で、 「中に入れることはできない。諦めな。」 と下馬したサナダへ恫喝するように行成り言う。 「私は逃げて来た訳じゃないんですが。」 「復古派の兵隊を蹴散らしてこいつらを助けたって聴いたぞ。」 「・成行ですよ。これも聴いてるでしょ。生れる間際の妊婦がいたんですよ。目の前であれじゃ、味方しない訳には行かなかったんですよ。」 「俺が先走ったんだ。赤ん坊を見殺しにする訳にゃいかんだろうが。」  矢を番えたままの大弓を振り回しながらラーデンが馬上から睨み下す。 「とにかく所内には入れんからな。」     
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