第二章 封鎖農園

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「なあ、農奴頭(かしら)、前は頼って来いと言ってくれたじゃないか。」  避難民の中から比較的身形の良い、といっても継ぎ接ぎが目立たない程度だが、男が弱々しげに言い寄ってきた。  (かしら)と呼ばれた男は怯むようにも見えたが、 「もうあの時と状況が違うだろうが。お前らの荘のオオクボ様一党が戻ってこないなら家財みんな持って一緒にここに籠ったらどうだって話だっただろうが。それを突っ撥ねたのはお前だろう。同意したローラン荘やマキノ農園の奴等はみんな中にいるぞ。」 「そんな薄情なことを言わず、俺達も入れてくれよ。」 「今更入れる訳にわいかん。もしそうしてみろ、近在の行き場の無い連中がそろってやって来るに違いなかろうが。」 「そこを何とか・・」 「ここは俺の農園じゃない、俺は農士頭にすぎん。緊急事態の上、代官のジェファーソン様までいなくなっちまったんで、近在の者の受け入れを俺の判断で許しただけだ。しかしだ。お前らは農具やその他一切合財を捨てて来たんだろう。指示もなく。お前らは逃散者なんだよ。そんなもん、匿ったら同罪ってことで後で咎めを受けるかもしれないんだぞ。」  言い捨ててからラーデンを一睨みしてからサナダへ再び向き直った頭は、     
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