第一章 野を行きて

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 半ば荷馬車が道を塞ぐような所へ後続の六騎が道を駆けて来て、勢いのまま彼等は路外への逃れてながら先行く騎馬へ悪態をついた。 「何やってやがる、野郎が逃げちまうじゃないか。」 「手前ら、奴とグルなのか。」  半ば言い掛かりなのだが、道を塞いでいること自体は事実なので騎士は丁寧にそのことを詫びた。  四騎はすでに馬車の後方に出て今にも駆けだそうと身構え、半身で早くしろとばかり二騎のことを伺っていた。  フードを被り直した御者が落ちた木箱を荷馬車に上げるのを見ながら、一番年季の入った追手が探る目付きで、 「ところでお前らはこの荷をどこへ運んでるんだ。」 「それは貴方がたには関係無いでしょう。」 「関係なくはない。我らはこの道を来る者の見張って、何かあったら知らせるように言われてる。」 「これはこの向うの農場の、」 「農場の?」 「農場の閉鎖でこの先で陣どってる復帰派の所だ。」 「ハインリッヒの旦那の知りあいかい。」 「ハインリッヒ、ハインリッヒ・ミューラーが居るのか。」 と思案顔の騎士へ、トコトコと距離を詰めたその騎手はすれ違いざまに抜刀した。騎士はとっさにその突きを籠手でいなすと、 「何をする。ミューラーの配下じゃないのか。」     
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